地球温暖化の一因として。それから動植物の生態系を狂わせる原因にもなっている森林破壊。

地球と私たちの未来を守るために、一体何ができるんだろう、と思い悩んだ時。ごく身近なところから考えてみませんか?と提言しているのが、アンバサダーの北嶋麻紀さん。

森林破壊を食い止めること、森を再生させるという活動が、いかに私たちの生活にクロスしているのか、コラムをご一読いただきながら、一緒に考えてみていただけたら嬉しいです。

木の香りとぬくもりに包まれた幼少期

私の父は日本伝統の数寄屋建築を得意とする建築家で、私が幼い頃は頻繁に建築現場へ連れて行ってくれました。

完成する前の工事現場は木材の芳醇な香りでいつも包まれていました。今でも木材の香りを感じると、その頃の父との思い出が蘇ってきます。

小さな頃から『木』が身近な存在だった私ですが、成長するにつれて父の仕事との関わりも徐々に無くなっていき、自然環境への興味も全くありませんでした。

父が残した建築会社で働き始めのは30歳になってから…。幼い頃と同じように工事現場へ行く機会が増えましたが、そこには以前と全く違った風景が広がっていました。

家屋の造りは伝統的な日本家屋から現代生活に合わせた合理的で均質なものへと変わり、使われる木材のほとんどが複数の板を貼り合わせた集成材、しかも、あらかじめ工場で寸法通りに加工されたプレカット…私が昔見た、無垢材を職人が刻む、という伝統的な工法は姿を消していました。

木の温かみが消えた現代家屋

「何かが違う…」と直感で感じた1つは、あの大好きだった木材の芳醇な香りがしないこと、もう1つは家屋に温かみを感じないことでした。

昔の職人達は自然の素材である『木』についての知識が豊富で、その特性を活かした使い方を熟知していましたし、1つ1つの材料をとても丁寧に扱っていました。

そう、そこには『木』に対する愛があったのです。自然の恵みへ感謝しながら、それを私たち人間がより良く生きるために使わせていただく…そんな気持ちを持っていたからこそ、完成した家屋には言葉では表せない温かみがあったのだと思います。

日本文化は『木』と共に発展してきました。家屋はもちろん、生活道具や工芸品、船などの乗り物、紙製品…古代から現代に至るまで、私たち日本人は『木』と様々な形で関わりながら生活してきました。

それは日本に森林が多いことと関係しているのだと思います。

いちばん身近にある素材の特性を知り、自然からの恩恵を無駄なく利用して日本の伝統文化は形作られました。つまり、私たちの文化は『自然との共生』で作り上げられてきたのです。

このように長い『木』の文化があっても森林がそれほど減少しなかった理由は、先人たちがこの自然の恵みと上手く関わり『共生』をしてきたからだと思うのです。

仕事を続けながら、そんな日本の伝統文化と『自然との共生』という考え方をこれからも残していきたい、そのために自分ができることは何なのか?を考えていましたが、それを形にすることはできませんでした。

それから数年後…。

ヨガを始めて出会ったのが『ジェイドヨガ』です。最初はジェイドヨガが社会環境活動団体『Trees for the Future』へ寄付を行っていることを知りませんでした。のちにそれを知り、私の中にあった「自然との共生を自分でどう形にするのか?」という思いが再び大きくなったのです。

自然との共生への実践

ジェイドヨガでは『Trees for the Future』の活動を支援するため、マットを1本販売するごとに1本植林する寄付活動を続けています。

「ジェイドヨガマットを使うと新しい『木』が育っていくんだ。」…そう思った時に「私でも『自然との共生』を1つ形にできた!」と嬉しくなりました。

実際に植林された『木』を見ることも育てることもできませんが、ジェイドヨガマットを大切に長く使うことでその『木』を育てていくことに繋がると思い、いつも大切に扱いながら穴が開くまで使うことにしています。

昔の職人達と同じように…。

古民家を残すためにできること

このようにジェイドヨガが環境問題について考えるきっかけを作ってくれ、今は『自然との共生』を自分なりのやり方で少しずつ形にしています。

その1つが地元の古民家での出張ヨガレッスンです。この古民家は大工さんのご自宅で、すべて職人達の手仕事で作り上げられています。今では見かけることのない4寸角の大黒柱が全体を支え、飾り窓や欄間には細かい細工が施されています。

私が幼い頃に感じた職人達の愛で溢れた家屋ですが、大工さん亡き後、空き家となり放置されていました。

見学させていただいて「これを失くしてはいけない!」と強く思いました。

植林で新しい『木』を育てていくことと同じように、すでに私たち人間のために使われている『木』を残していくことも『自然との共生』につながるのではないかと考えました。

そのような思いに至ったのは、日本の木材自給率の低さを知っていたからです。

2023年現在、日本の木材自給率は全体の31.6%で、残りの68.4%は輸入品です。アメリカ、カナダなどの北米地域、マレーシアやインドネシアなどの東南アジア、ヨーロッパ、オーストラリアなど、全世界から集められた木材によって私たちの日本文化は成り立っています。(林野庁 森林・林業白書より)

世界のどこかの資源を奪っていきる現代社会

「輸入材はどこで生まれ育ち、どのような行程を経て日本へ来たのだろう?」ふと、そんなことを考えました。

輸入木材も元は世界各地の森林の中の1本として生まれ、その場所の気候風土に合わせて育ったに違いありません。それが人間の営みのせいで伐採され、しかもはるか遠く海を渡り日本へ運ばれてきたのです。私たち日本人が日本で暮らしていくために世界のどこかで森林が破壊されているということです。

森林破壊は全世界的な規模で広がっています。その原因は、人口の爆発的増加による食糧不足を解消するための農地転用、木材の燃料利用、地球温暖化が原因の森林火災、そして木材需要の増加…これを知れば、輸入材を使う私たちも森林破壊を広げている当事者だということが分かります。

だからこそ、すでに私たちの生活の中にある『木』を大切に長く使い、新しい『木』を無駄に浪費しないことが大切なのではないでしょうか。

環境保護活動とジェイドヨガ

ジェイドヨガは植林活動への寄付だけではなく、違った方法でも森林保護に協力しています。

『Trees for the Future』ではセネガルやカメルーン、ウガンダ、タンザニアなど、アフリカ諸国の農民たちの貧困や飢餓を解消するために、彼らに植林と土壌改良のトレーニングを施し、食糧の自給と収穫物を売ることによって収入を増やす『フォレストガーデンアプローチ』という活動を行い、森林の再生を図っています。

これはただ単に植林をして森林を増やすということではなく、そこに暮らす人たちの将来を見据えたもの…自然環境に直接アプローチするのではなく、人間が自然と共生する中で間接的に自然環境を本来の状態に戻していくという、とても理にかなった方法だと思います。

そこには自然のみならず、人々が自然と共により良く生きられるように導いていこうとする献身的な思いが感じられます。

ここまで『自然との共生』という言葉を使ってきましたが、この言葉、どこか人間が自然よりも上に存在しているような目線のように思えます。

ヨガ的な観点から見れば、人間だって自然の一部分…そう考えると『自然と一体となる』と言ったほうが良いかもしれません。

自然という流れの中に全てがあり、わたしたち人間一人一人もその流れに従って生きています。その流れに反すれば、当然のことながら様々な問題が生まれてきます。自然の流れに即した生き方をしていけば『自然との共生』などと言う必要は無くなるでしょう。
 
インドへ修行に行った時のスワミジ(高僧)のお話が忘れられません。

地球とのGive & Take

「自然は『愛』で創られている。1本の『木』に多くの実が生る。『木』はそれを多くの生命たち…鳥や昆虫や人間…に分け隔てなく、惜しみなく、すべてを与えている。これこそまさに『愛』だろう?」

そして、このように続きます。

「生命たちがその実を食べ、残った種が地上に落ちる。そして、その種から新しい『木』が生まれ育つ…自然はGive & Takeで成り立っているのだ。

私たち人間は今まで自然からたくさんの恩恵を頂いて(Take)きました。しかし、それに見合うだけのお返し(Give)をしてきませんでした。それゆえに自然破壊が起き、それが異常気象や自然災害などを引き起こし、結果的に私たち自身を苦しめています。

人間が自然に対してできること…それは私たち一人一人が自然からの恩恵である実を大切に味わい、残った種をまた自然に返すこと…。

そうして初めてGive & Takeが成り立ちます。

私はヨガ通して自然の流れを知り、そこに満ちている『愛』を知りました。そしてそれを目に見える形として表す方法を『ジェイドヨガ』が教えてくれました。

自然が教えてくれたこの『愛』という実をヨガというツールを使って味わい、その種を自分が鳥となり、昆虫となって、周りの人たちの心に落としたいと思っています。

それが私ができる自然へのお返しだと信じて…。

北嶋 麻紀(Maki Kitajima)

Anandah Yoga School代表。
ヨガを体系的に学べるよう、アーサナのみならず暝想や経典学習講座なども行う。また指導者養成講座にて後進の育成にも力を入れている。
ジェイドヨガマットとの出会いはニューヨークへの一人修行の時。以来10年以上愛用し続けている。自身のクラスはもちろん、海外へ行く時もジェイドと一緒。海外のヨガスタジオの多くでジェイドが使われていることを実感。 ジェイドがグローバルスタンダードなヨガマットであることを多くの人に伝えていきたい。

【座右の銘/好きな言葉】Be in Yoga Always(いつもヨガと共に)
【指導しているヨガ】ヴィンヤサフロー

インスタグラム: https://www.instagram.com/anandah.maki/
ウェブサイト: https://www.anandahyogaschool.info/

【麻紀さんの他のコラムを読む】
失敗しない!ヨガマットの選び方
鬱と摂食障害を乗り越えた先に 
場所とらずのオシャレな新感覚マットケース『パルキアマットキャリー』