生き続ける苦しみのなかで始まる拒食
生きることを選んだ私のその後の高校生活は苦痛でしかありませんでした。自分の心という落とし穴に落ち、外界から閉ざされた暗く狭い中で動くこともできずに過ぎていく日々…。これが鬱の始まりだったと思います。
私の異変を察知した両親に自分の思いを伝えられたのは半年以上経ってからです。しかし、二人から返ってきたのは『自分の人生は自分で切り開きなさい』という言葉…それが私をさらに追い詰めました。
なんとか部活を辞め、精神的に落ち着きを取り戻すと、今度は自分との戦いが始まります。『人間としてダメな自分を直さなくてはいけない』『完璧な自分になりたい』…これが完全な自己否定から自分を救う唯一の方法だったのです。
そこでまず最初に始めたのがダイエットでした。自分で作った理想の自分像を追い求め、巷で流行していた様々なダイエット方法を行いました。
それがやがて精神を蝕み、結果的に『食べること』を拒否するようになります。これが摂食障害の始まりです。体重は30kg以下となり、誰が見ても普通の状態ではありません。しかし自分では『まだ完璧な自分ではない』と思い込み、食べないことで理想像に近づこうとしていました。
大学受験と挫折で、さらに悪化の一途
この状態が1年ほど続き、栄養失調状態のまま大学受験を迎えました。体も心も異常な状態ですから、結局志望する大学には入れず、合格できた1つの大学へと進むことになりましたが、この挫折が摂食障害の症状を悪化させました。
『やっぱり自分は完璧な人間にはなれないんだ…』と。しかし人間の肉体は自分の心や思考の言う通りになってはくれません。
栄養失調状態が長く続いた私の肉体はそれを維持するために食物を必要としていました。今度は異常な過食が始まったのです。今なら『自然の流れに反すれば、元に戻そうとする力が働く』ということは良くわかります。
でも、その当時の私は『すべては自分でコントロールできる。できないのは自分の努力が足りないせいだ。』と思っていました。『食べたい』という衝動と『食べてはいけない』という理性との間でバランスが取れなくなり、最終的に『食べたい』という衝動に自分が負けました。
それは私にとって自分自身に対する敗北でもありました。
そして、なんとかそれを埋め合わせようとして思いついたのが『嘔吐』だったのです。
過食をしても嘔吐すれば何もなかったことにできる…この方法は私にとって夢のようなもので、自分自身を助けてくれる最善の策を見つけた!と思っていました。
その後、この過食嘔吐はヨガと出会うまで好・不調を繰り返しながら10年以上続くことになります。