20年以上にわたりインドに通いながらヨーガの叡智を学びつづける、アムリタトシさん。
日本に戻っている間は『Goa style & Veda』を全国各地で精力的に伝えているアムリタトシさんにライフスタイルとしてのヨーガの実践でたどり着きたい姿を紐解いていただきました。
ヨーガといっても現在では、世界中で様々な名前と形で実践されており、始めたきっかけも皆さんそれぞれに違うと思います。
多種多様な名前と形の背後にある、ヨーガの教えを、その源でありインドに何千年も前から変わることなく伝え続けられている、人類最古かつ現存する教えであるヴェーダに基づいて紐解いていきたいと思います。
ヴェーダとは人の幸せを叶え、人間の究極的なゴールまでを教える壮大なヴィジョンです。
私たち人間は普段、社会の中で暮らしているので人間の立場でしか物を考えにくいですが私たち人間は、いつも宇宙と自然から様々な恩恵を与えられ、生かされています。
人間は無数に存在する生命体の一つに過ぎません。動小物、植物、菌も全て生命体です。
それら目に見えるものから、目に見えないものまで全てが繋がり合い、多様性の中でこの世界は形成されています。
私一人で成し遂げたものは何一つありません。
宇宙が一つの大きな生命体であり、その美しい秩序体系の運行の歯車として、私たち人間が存在し、役割を与えられ生かされているとヴェーダは教えます。
人間は、自由意志(知性)を持って物事を選択できるがゆえに、調和を選択することもできれば、好き嫌いという考えに束縛され、不調和を選択することさえできてしまいます。
自然を守ることもできれば、もう十分すぎるほど自然から与えられ生かされいるにもかかわらず、なお自然から奪い破壊することさえできてしまうのです。
私たちの生命を維持するのに必要な空気も、水も、食物が育つ土も、太陽の光も全て与えられています。
どの植物が二酸化炭素を吸収して、酸素を排出しているかなんて私たちは、知るよしもありません。しかも、少しでもその濃度が違えば私たちは生きていることさえできません。その植物を育てる太陽は地球の外にあり、太陽が少しでも地球に近ければ、あまりの暑さに生命体は活動できないでしょう。
この瞬間も、地球はパーフェクトに自転し、太陽の周りを好転しているから、太陽は東から登り西に沈むようにみえ、日本には四季が生まれ、美しい独自の文化が花開いているのです。
その秩序体系の中に、この瞬間も私たちはあります。
変えれることと、変えられないことをはっきりと見極め、個人の限界を超えた大いなる存在をヴェーダでは、『イーシュワラ』と特別な言葉で呼びます。
この宇宙全体が一つの大きな生命体なのです。
私たち人間は何ができるのでしょうか?
個人の欲望や願望だけを満たす人生ではなく、与えられた願望を調和的に使い、社会や自然、宇宙全体に最大限貢献することを選択することができます。
足りない、満たされないという考えの結論に気づき、消費する立場から、思いやりと共感をもって、与え、貢献する立場に立つことができます。
その価値に気づくには心の成長が欠かせません。
ヴェーダは、心をいかに成長させていくことが人生において重要であるかを教えます。
その成長は宇宙全体まで広がります。
宇宙全体まで広がった心で、客観的な態度と姿勢を持って、私が出来ることを理解し、最大限調和を選択するために、日々の暮らしの一つ一つを意識的に選択行動しているのが、ヨーギンなのです。
ヨーガはまさに、そのヴェーダのビジョンを基にプラクティスされているライフスタイルであり、心を成長させ、あるがままに歪みなく世界を捉え、心を道具として扱い、私の本質を深く理解していくことをゴールとしています。
そんな広い成長した、豊かな心を育みたいヨーギンにピッタリのマットが、ジェイドヨガ なのではないでしょうか。
私たちがいつも、調和の選択と共にあり、どんな時も最大限社会に貢献することを忘れず、そして、いつも大きな秩序体系と共にあることを思い出せますように。
Harih Om
Amrita Toshi
Special Thanks
photo by Naoya Oshita
Amrita Toshi (アムリタ トシ)
20年ほどインドに通い長期滞在しながら、聖地バラナシで著名な指導者 シュリー・エムエル・ソンカーからヨーガの本質を学ぶ。京都大学で2年間インド哲学を受講。その後、アシュターンガヨーガの世界的指導者であるロルフ・ナウジョカットと、アライメントを的確に伝える妻マシーのもと、ゴアスタイルアーサナプラクティスを深め、アシスタントを務める。ヴェーダ文化を探究し、伝統的なヴェーダーンタの教えを世界的指導者であるスワミ・パラマートマナンダ・サラスヴァティから学び続け、指導している。
【座右の銘/好きな言葉】与えること、調和、ダルマ
【指導しているヨガ】ゴアスタイル(アシュターンガとアイアーンガシステムが融合されたスタイル)
インスタグラム: https://www.instagram.com/amrita_toshi
ウェブサイト https://namah-shivaya.com/
参照:前回のコラム