同じ苦しみを抱える人を助けたい

こうしてあっという間に本来の自分を取り戻せたのは、私がすでにヨガを伝える立場にいたことが大きかったように思います。

指導者になったのは過食嘔吐が止まった頃です。「私と同じように辛い毎日を送っている人たちにヨガが助けになることを伝えたい。」という気持ちでした。

ヨガを通して体験したことを自分の体を使って、心を使って伝えていく…生徒さんにアウトプットすることで私自身の消化・吸収・排泄がどんどん進んだのです。

それは今に繋がるもっと深い修行の入り口にもなりました。

off the matでヨガと生きる

本来の自分を取り戻した私ですが、だからと言って完全に幸せになったわけではありません。

生きていく中では様々なこと、もの、人が自分を悩ませます。それは落とし穴に落ちていた時と何ら変わりません。

そんな時にいつも助けてくれるのがヨガの教えです。ヨガは目の前の世界の見方や人生観を変えてくれました。

『目の前の世界は誰にとっても同じ…。でも自分がどう見るかで変わるのだ。だったら、自分にとって幸せな世界だと見れば良いだけだ。』

それに気づいた時、私が最初に自己分析をした時に思った『本当の幸せ』とは何なのか?

そこから派生するように湧いてきた『私とは何なのか?』『人間とは何なのか?』『目の前の世界とは何なのか?』という根本的な疑問が生まれてきました…その答えを見つけることが今も続く修行です。

確かにヨガ哲学は私が抱いた疑問に答えをくれました。

しかし、それはあくまでも『知識』でしかありません。その知識を生きていく中で実践し体験して、初めて理解できるのです。

ゆえに私の毎日はヨガ哲学の実践の場であり、そこで体験したことを自分の中で消化し吸収し、自ら作り出した誤った認識や観念を捨て、時にはまだ理解できない課題と向き合いながら生きています。

仲間に助けられて

こうして自分自身の修行をしながら、以前と変わらずヨガを通して体験したことをみなさんにアウトプットし続けています。この体と心を使って…。

私のヨガスクールには、そんな私から何かを感じ取り、私と同じように『本当の幸せ』を探す仲間がたくさん集まってくれます。

一緒に生きることを楽しみ、人生をより豊かなものにしてくれる家族のような存在です。誰もが「ここに来ると幸せになれる」と言ってくれるのですが、私はいつもこう答えるのです。

「私もヨガもみんなを幸せにすることはできないよ。幸せは自分で見つけるものだから…。私とヨガはそのきっかけ作りと手助けをしているだけ。」

そう、幸せは自分で見つけるものなのです。

かつて両親が私に言った「自分の人生は自分で切り開きなさい」という言葉…今ならその意味も、二人の思いもよく分かります。

だって、私も仲間に同じことを言っているのですから…。

「本当の幸せ」の中にいる、とは?

ヨガを学び続けていくうちに『本当の幸せ』とは何か?ということも分かってきます。

私たち人間の真の性質は『Sat(存在)Chit(純粋な意識)Anandah(至福)』だと言われています。

つまり、私たちはすでに『本当の幸せ』の中にいるのです。ただそれに気づいていないだけなのです。

ヨガの修行はそれに気づくためのもの…そのためにまず『私とは何なのか?』『人間とは何なのか?』『目の前の世界とは何なのか?』を知ることが必要で、それが理解できた時に自ずと『本当の幸せ』に到達できるということなのだと思います。

今の私があるのは、ヨガというツールと両親や仲間、私を助けてくださった多くの方々との繋がりです。

ヨガとは『繋ぐ』という意味…これからもヨガで目の前のあらゆるものと繋がりながら、自分の中にある『本当の幸せ』を見つけようと思っています。

北嶋 麻紀(Maki Kitajima)

Anandah Yoga School代表。ヨガを体系的に学べるよう、アーサナのみならず暝想や経典学習講座なども行う。また指導者養成講座にて後進の育成にも力を入れている。
【座右の銘/好きな言葉】Be in Yoga Always(いつもヨガと共に)
【指導しているヨガ】ヴィンヤサフロー
インスタグラム: https://www.instagram.com/anandah.maki/
ウェブサイト: https://www.anandahyogaschool.info/